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認知症

高齢者化が進んでいる現代社会において認知症は特別な病気ではなくなっています。
人の名前を思い出せない、昨日の出来事が思い出せないなど物忘れは誰にでもおこることです。そして年齢とともに物忘れは進むことがございます。しかし、脳の老化とともにおこる所謂物忘れと認知症は異なります。認知症は何らかの病的変化によって脳の神経細胞が破壊された結果として起こる症状、状態をいいます。そのまま放置していると更に進行し社会生活に支障がでることが懸念されます。
また認知症には大きくアルツハイマー型認知症、レビー小体病、前頭葉側頭葉型認知症、血管性認知症があります。特に血管性認知症はすべての疾患に合併するため注意が必要です。
また早期診断、早期介入ということ重要となってきます。そのため軽度認知障害(MCI)いう概念が重要となってきます。

症状

  • 同じ話を繰り返す
  • ついさっきのことでも、ものをどこにおいたのかが分からなくなる
  • 料理の味付けが変化する
  • 財布や鍵をなくしてしまう
  • 買い物にいっても計算ができずお札の使用が増えて小銭が増えてくる
  • これまでできていたこと、好きであったことをしなくなる
  • 家事をしなくなる
  • 人と会うことを避ける
  • 仕事のミスが増える
  • イライラがとまらない

多くの場合に周囲の人が先に気づくことがございます。ご本人はもちろんのことご家族だけの受診の場合でもご相談に乗ります。

認知症には大きく以下のタイプに分かれます

  • アルツハイマー型認知症
  • 脳血管性認知症
  • 前頭葉側頭葉型認知症
  • レヴィー小体型認知症

アルツハイマー型認知症

加齢、頭の怪我や喫煙などの環境要因と遺伝子的な電子要因などが複合的に絡み合い発症すると考えられています。
遺伝子要因とてApoEタンパクに関するものやアミロイド前駆タンパク(APP)、PDEN1タンパク遺伝子等が関係していると考えられています。
認知症の中でも40%近と最も頻度の高い認知症と考えられており、65歳以上の有病率は5%前後に上ります。
この病気にかかるとAβタンパクからなる老人斑が出現しますが、これをアミロイド仮説といいます。

症状

早期には軽度認知障害(MCI)がみられ、徐々に時間や場所が分からなくなったり(失見当識)、近時記憶が障害されていきます。更に進行すると人格的な変化やこれまでなかった行動の変化が起こってくきます。

さらにBPSDといわれる周辺症状がおこる場合もございます。

BPSD

昼夜逆転、不適切な興奮、ものとられ妄想など

診断

これまでの経過を詳しく聴取し(病歴)総合的に診断していきますが、認知症の場合には特に画像診断が重要となります。画像検査として頭部MRIやSPECT検査等を行います。
画像検査が必要な場合には、総合病院や検査のできる医療機関をご紹介させていただきます。

臨床診断基準 DSM5(抜粋)
認知症について

  1. 家族歴または遺伝子検査から、アルツハイマー病の原因となる遺伝子の変異の証拠がある
  2. 以下の三つすべてが存在する
    • 記憶、学習、および少なくとも1つの他の認知領域の低下の証拠が明らかである
    • 着実に進行性で緩徐な認知機能低下があって、安定状態が続くことはない
    • 今混合性の病院の証拠がない

治療

根本的治療はまだみつかっていません。
治療は患者さんの生物学的側面、心理的側面、社会的側面のすべての視点を勘案して行く必要があります。患者さんの立場を大切にしていき、医療機関だけでなく家族、兄弟、会社に加え行政による地域のサポートしていく必要があります。
内服治療としてはコリンエステラーゼ阻害薬やNMDA受容体拮抗薬を使用します。
BPSDが存在する場合には、上記に加え漢方薬や少量の抗精神病薬が使われることがあります。

 

心療内科  心療内科   五反田こころのクリニック  五反田駅前

血管性認知症

血管性認知症は脳血障害の結果としておこる認知症をさし認知症患者の30%前後を占めます。そのため脳血管障害の危険因子である高血圧、心房細動、脂質代謝異常、糖尿病などがリスク要因となります。脳血管障害がおこると脳内の局所機能が障害されることがあり、その結果として認知機能低下をおこします。

症状

症状が急に出現したり、脳血管障害が複数回おこるとその度ごとに階段状症状が急速に進行していくのが特徴です。認知機能の低下以外に片麻痺や構音障害などの神経症状がでることもあります。

診断

アルツハイマー型認知症と同様にこれまでの経過を詳しく聴取し(病歴)総合的に診断していきます。特に画像診断が重要となり頭部MRIやSPECT検査等を行います。
画像検査が必要な場合には、総合病院や検査のできる医療機関をご紹介させていただきます。またアルツハイマー型認知症との鑑別にハチンスキー(Hachinski)の虚血スコアが用いられることもあります。

治療

最も重要となるのは再発、悪化の予防です。従って上記リスク要因に対する治療を行っていきます。たとえば心房細動は高血圧が存在すれば内科薬の使用も検討することになります。

 

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前頭葉側頭葉型認知症

前頭葉側頭葉型認知症(FTD)はタウタンパク質やTDP-43タンパク質などの異常蓄積が原因となります。脱抑制や常同行為といった特徴的な症状が出現します。一方で日常生活能力は維持されることがあります。

症状

脱抑制、常同行為、人格変化、食行動異常等が挙げられます。

  • 毎日同じ時間に同じことをする
  • いつも決まったコースを歩き回る
  • 同じものを食べる
  • 自分がやりたいと思ったらほかのひとが何と言おうと行動してしまい気にならない
  • 話している途中で急に別のところへ行ってしまう

診断

アルツハイマー型認知症と同様にこれまでの経過を詳しく聴取し(病歴)総合的に診断していきます。特に画像診断が重要となり頭部MRIやSPECT検査等を行いますが、前頭葉と側頭葉に特徴的な所見が認められます。
画像検査が必要な場合には、総合病院や検査のできる医療機関をご紹介させていただきます。

治療

根本治療はなく対症療法が中心となります。
問題行動をおこし周囲の家族や介護者が疲弊してしまうことがあります。そのためまずは病気に対する理解を深め対処について検討し場合によっては患者さんの行動パターンを変えることで負担の軽減を図ります。また可能な限りの社会資源の導入をおこないます。

 

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レビー小体型認知症(DLB)

レビー小体型認知症とは認知機能低下に加えパーキンソンニズムや幻視といった特徴的な症状を呈する疾患です。レビー小体が大脳皮質や脳幹部に蓄積することが原因です。

症状

  • 進行性で変動性の認知機能障害
  • 幻視
  • パーキンソンニズム(パーキンソン病と同じ症状)
  • 起立性低血圧や便秘といった自律神経症状
  • レム睡眠行動障害

診断

上記特徴的症状が認められるため、アルツハイマー型認知症と同様にこれまでの経過を詳しく聴取し(病歴)総合的に診断していきます。画像診断(頭部MRIやSPECT検査)等を行います。

治療

根本的治療はなく対症療法となり環境調整が重要です。
薬物治療としてはコリンエステラーゼ阻害薬の一部が効果があるとの報告があります。

 

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